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富士見町の山林の間伐材を使って、御柱祭の桟敷席をつくりました。

富士見町の山林の間伐材を使って、御柱祭の桟敷席をつくりました。

4月2~4日に開催された諏訪大社上社御柱祭(山出し)にあたり、"木桟敷団"によって、富士見町の山林の間伐材を使った木桟敷席が木落坂前に設置されました。このプロジェクトの概要をご紹介します。

 

■木桟敷団プロジェクト概説

我々のプロジェクトの出発点は、間伐材を使って桟敷席を作るというところにあります。間伐材の有意義な利用方法を示すことは間伐材を促進し、里山の保護に繋がると同時に、木に関わるあらゆる人の経済活動を活性化させることにもなります。

今回、木桟敷団は1本の木から1体の桟敷席を作ることにしました。山で1本の木が間伐され、製材所、工房を通じてその木がそのまま1つの桟敷席となります。これには二つの狙いがあります。

一つは、間伐材の製品をわかりやすく提示ひることです。我々のプロジェクトでは、1本の間伐材で何ができたか、また、製品がどれだけの工程を経たか、完成品を一目見るだけでわかります。このプロジェクトが刺激となり、間伐材で価値のあるものを作ろうとする動きが生まれることを願います。

そうしてもう一つの重要な目的は、この桟敷席が座る方に木材、つまりモノではなく、生きていた木の上に座っているんだと感じていただくことです。
西洋文明は石や鉄と共に発展してきましたが、日本は明治以前はひたすら木で建築をしてきたのです。結果、日本人は世界的に見て、木への優れた感性を持つようになったと言っても過言ではありません。御柱祭に代表されるように、中でも諏訪地方は特に根深く木と関わって来た地方であり、日本人の中でもエリートと言えます。
この桟敷席に座る方には、まずはご自分が木に関して優れた感性を持っているというその自覚を持ち、生きている木の魅力と可能性について考えてほしいと思います。さらには、自分が木、山とどのように共生していきたいか、再考してみていただければと思います。それが一地方の木の文化のみならず、日本や、ひいては世界の木の文化の発展に繋がりうるのです。

木桟敷団団長 樋口貴彦
 

■木桟敷団団員

樋口 貴彦 : 東洋大学助手
山田 今朝光 : (有)山田住建代表
樋口 善彦 : 山林所有者
Paul Anselmi : 建築家
寺崎 悠真 : 一級建築士
池谷 聡史 : 東京大学大学院
高達 暁子 : 東京大学大学院
北澤 浩平 : 木工技師
太田 尚宏 : 映像作家

■建築データ

原材料 : 3-40年生カラマツ間伐材19本
林の面積 : 約2ha
設計期間 : 2009/10-2010/3
施工期間 : 2010/2-2010/3
設計 : 樋口 貴彦、寺崎 悠真、Paul Anselmi
構造設計 : 池谷 聡史
材料加工 : 小松工芸社
施工 : (有)山田住建・木桟敷団
協力 : (有)山田住建
 

■トレーサビリティ

今回木桟敷団は、土地の材料を土地で加工して土地で使うということを実践しています。この項では材料がどのような経路を経て桟敷席になったかを紹介します。

トレーサビリティ

(1)山林 : 樋口家山林
木桟敷団団員の樋口善彦氏が所有する山林。昨年末、3-40年生のカラマツ31本を間伐。その内立ち枯れていない19本を桟敷席に加工した。

(2)木工所 : 小松工芸社
山林から取り出した原木を一次加工。次に行われる工房での作業を簡易化する。

(3)工房 : 山田住建
木工所で一次加工された材料を二次加工。この段階で1本の桟敷席ユニットが完成する。

(4)建設現場 : 木落坂脇
工房で加工した桟敷席を搬入し、地面に打ち込むことで設置が完了する。

 

■製作風景

木桟敷席製作風景

■新聞掲載

地元カラマツ間伐材で桟敷席 茅野の木落し公園近くに (信濃毎日新聞)
2010 御柱祭 : 間伐材使い木落し公園近くに桟敷席 建築業者らが試作 (長野日報)
2010 御柱祭 : 間伐材の桟敷席で御柱を 茅野の木落とし公園近くに設置 (長野日報)

(written by 樋口かよ)