甲斐駒眺望(甲斐駒ケ岳が見える暮らし)

甲斐駒眺望(甲斐駒ケ岳が見える暮らし) 

 

深田久弥は「日本百名山」でこう書く。

「日本アルプスで一番代表的なピラミッドは、と問われたら、私は真っ先にこの駒ヶ岳をあげよう。その金字塔の本領は、八ヶ岳や霧ヶ峰や北アルプスから望んだ時、いよいよ発揮される。南アルプスの巨峰群が重畳している中に、この端正な三角錐はその仲間から少し離れて、はなはだ個性的な姿勢で立っている。まさしく毅然という形容に値する威と品をそなえた山容である。」

また、こうも言う。

 

「日本アルプスで一番奇麗な頂上は、と訊かれても、やはり私は甲斐駒をあげよう。眺望の豊かなことは言うまでもないとして、花崗岩の白砂を敷きつめた頂上の美しさを推したいのである。信州ではこの山を白崩(しろくずれ)山と呼んでいたが、その名の通り、遠くからは白砂の峰に見えるのである」

 


富士見町の風景の中にある甲斐駒は、深田久弥の甲斐駒より、少しやさしい。棚田の先に雑木林、その向こうに釜無の山が広がり、一番奥、てっぺんに甲斐駒ケ岳がくる。富士見の里山からの甲斐駒は「毅然」というより、「いつでも見守ってくれているおおらかさと品をそなえた山容」に見える。 

朝起きて、まず目にする山。

今日は見えない お久しぶり 青空に三角形が光っている 
いつもより迫って来る 朝焼けで染まっている 明日も頼むよ
てっぺんがほんの少しだけ覗いてる 霧の中でぼんやり 
真上に飛行機雲 今日はやけに灰色だ 左肩に見える白は雪?
全面が白 白が塗り重なった 岩肌が透けて見えるようになった 
雪が龍に見える季節だ 緑に映える

 

山が見える生活。登る山もいいけれど、見る山もいい。
 

そんな甲斐駒ケ岳の1年を、皆さんにもお裾分け!

 

 

 〈 深田久弥 「日本百名山」(朝日出版社) 〉

 

(Written by 村上不二子)

 

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